現在、外科手術用医療補助器具(軟組織用結さつクリップ、腸管ステイプラー等)は、主にチタン合金が使用されています。チタン合金は強度、伸展性、生体組織親和性においてすぐれた物性を持つ金属材料ですが、手術後、体内に生涯にわたり残存することから、肝胆膵外科分野の手術などでは胆管内迷入や感染症などの合併症を引き起こすケースが報告され、また、放射線、磁気を吸収するため、CTスキャンやMRI診断時にハレーション(アーティファクト)を引き起こすことから、患部周辺の精細な撮影を阻害するなど、外科手術の現場において、多くの課題を抱えていました。
そこで当社は、神戸大学工学部・材料物性学研究における最先端の医用金属材料研究の成果と、神戸大学医学部・肝胆膵外科学分野における外科医の貴重な知見を組み合わせることにより、生体内でゆっくりと分解して一定期間で消失し、同時に、CTスキャンやMRI診断時にアーティファクトを引き起こさない医療機器としての極めて優れた物性を持つ、新型マグネシウム合金を応用した体内用結さつクリップ、腸管ステイプラーなどの医療補助機器を開発しています。
チタン合金の代替金属としてのマグネシウム合金を利用した医療応用は非常に有望であり、クリップ、ステイプラーから将来的には血管ステント、骨固定用ボルトなど、様々な分野への応用が期待されます。